1998
中村 誠一初に石を割ったのは、1993年の秋、岐阜の採石場でのことでした。当時24歳、建築事務所を辞めて石工の親方に弟子入りし、最初の三年間は現場の掃除と石の運搬だけを任されました。ノミを持たせてもらえたのは四年目の春。その日のことは今でも覚えています。稲田石の白い粉が手に積もり、石が割れる音が腹に響いた。あの感触が、この仕事を続ける理由です。
中村 誠一初に石を割ったのは、1993年の秋、岐阜の採石場でのことでした。当時24歳、建築事務所を辞めて石工の親方に弟子入りし、最初の三年間は現場の掃除と石の運搬だけを任されました。ノミを持たせてもらえたのは四年目の春。その日のことは今でも覚えています。稲田石の白い粉が手に積もり、石が割れる音が腹に響いた。あの感触が、この仕事を続ける理由です。
1998年に東京・世田谷で独立し、Marble Cove Pathを立ち上げました。最初の仕事は、近所の住宅の玄関アプローチ、わずか4平方メートルの花崗岩敷きでした。施主の奥様が「毎朝ここを踏むのが楽しみになった」と言ってくださった言葉が、今の仕事の基準になっています。その後、庭師の田中 義雄氏との出会いが転機になりました。植栽と石の関係を植物の側から考える視点を学び、石敷きの設計が大きく変わりました。